2014年8月19日火曜日

この道のりが楽しみ ― 《訪問》言語聴覚士の仕事

《訪問》言語聴覚士という道を切り拓いてきた著者が伝える“楽しさ"と進め方の実際

医療において早期退院が促進されるなか,リハビリテーションも「退院後」がいっそう重要になっています.自身も失語症当事者としての経験を持ち,すでに11年余り地域密着で《訪問》言語聴覚士として在宅ケアを展開してきた著者が,これから訪問活動をめざす言語聴覚士へその意義と実際を伝えます.在宅ケアに関心のある言語聴覚士の方,必読です.

これまで出会った患者さんとの豊かなエピソードは,在宅ケアの重要性を強く伝えています.そして,《訪問》と病院の臨床では何がどのように違うのか,どのようにして進めていけばよいのか,《訪問》で生計を立てていけるのか,といった具体的な疑問や不安にもきちんと答えます.
さらに,プロのカメラマンが著者の一日を追ったフォトドキュメント「今日もこの道を」を所収.言葉では伝えきれない訪問活動の雰囲気が伝わり,その質を感じ取っていただけます.

「訪問」と病院の臨床とは何がどのように違うのか…、訪問STとして活動を始めるには…、他職種とどのように関係を築いていけばよいのか…、訪問STで生計を立てていけるのか…。退院後の患者さんが気になるすべての言語聴覚士。こんな疑問や不安に答えます。

失語症を家族に持つ者としてこの本を手にした。
脳血管疾患が増えてきている現在でも一般の人の失語症への理解はまだ少ない。
失語症とは脳の疾患により、言語機能の中枢が損傷され、「聞く」「話す」「理解する」「読む」「書く」などの機能が障害される。
医療制度改革によってリハビリ期間が短縮され、言葉の訓練を2~3ヶ月しただけで自宅に戻され、その後のフォローがなかったり、
フォローがあっても、訓練1年ぐらいで「もうこれ以上は回復しないでしょう」といい渡されてしまう。失語症者はなすすべもなく、
家にこもりがちになる。そんな医療制度のスキマに落ちてしまった失語症者を長期に亘ってフォローすべく、
著者は訪問による言語リハビリを開始した。そのような人が果たして日本にどれぐらいいるのだろうか・・・。
訪問リハビリの言語聴覚士として山梨で活躍する著者はかつて自らも失語症を患い、懸命な努力によって言語聴覚士の
仕事に就けるまでに回復。現在も少しずつ回復していると本人は言う。だからこそ、失語症者の気持を理解し、
長期のフォローが失語症者にとって重要なことを訴える。
著者が失語症になってから、言語聴覚士になるまで道のり、そして、言語聴覚士になってから患者のところへ訪問するまでの道のり。
それらが淡々と描かれているが、読んでいると胸が熱くなり、言語聴覚士という仕事への興味が自然と沸いてくる。

病院に勤務する言語聴覚士はもちろんのこと、これからフリーになって訪問リハビリを目指そうと考えている人たちにぜひ読んで欲しい。
そして各地域でひっそりと家に籠もっている失語症者にぜひ希望を与えてほしいと思う。
どのように地域の医療機関や公的機関と連携を結んでいくか、フリーでも生活していけるのか・・など、
フリーの訪問リハビリを目指す人が不安に思うことも細かく書かれている。
大西成明氏の写真も暖かさに満ち溢れている。


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